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チベット人元政治囚ガワン・ギャルツェン師 58歳で遷化

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2022年2月23日
スタッフ・リポーター

元政治囚のガワン・ギャルツェン師

情報筋によると、チベット人の人権擁護活動を推進し、中国の刑務所に17年以上にわたり服役していたチベット人元政治囚のガワン・ギャルツェン師が、2022年2月22日、遷化した。 ゴドゥップ・ギャルツェン師の名でも知られるガワン・ギャルツェン師は、病気のため現地時間の午前5時22分頃にラサの病院で亡くなった。まだ58歳であった。

1987年9月27日、彼は、ラサで初めてチベットの独立を支持し、大きな影響を与えた平和的デモ活動を行ったデプン寺の僧侶21名のうちの一人だった。後にガワン師は逮捕され、ラサの拘置所に4カ月間監禁された。

釈放後も、ガワン師はチベットの独立とチベット人の基本的人権のための活動を続けた。そして、彼は、他の9名の僧侶とともに「10人の会」を結成し、非暴力の政治活動を実行した。

アムネスティ・インターナショナル・グループによる22件の報告書によると、「この10名の僧侶らによる非暴力の政治活動には、木版による世界人権宣言の複製も含まれていた。また、1963年にダライ・ラマ法王が亡命先で交付した『未来のチベットのための民主的憲法草案憲法』に基づいた将来のビジョンを概説する、中国の占領から解放された後の民主的なチベットを提案する文書も印刷していた」と述べられている。

1989年5月13日、中国当局は、10名の僧侶らを逮捕した。同年11月28日、ラサ人民中級裁判所において、1500人近い人々の前で裁判が行われ、ガワン師は、「反革命的グループへの参加」「分離主義の扇動」「スパイ活動」及び「不法出入国」の罪状により懲役17年の刑を言い渡された。また、この長い刑期に加え、政治的権利を5年間剥奪された。

NGO・フリー・チベットの報告書によると、ガワン師は2015年2月24日、チベット東部のナクチュ郡ソグ県で再逮捕され、その後、懲役3年の刑を宣告された。中国当局との「愛国教育」をめぐる対立が原因で、彼は、僧院から強制退去させられたと見られている。2019年3月7日に釈放されるまで、ガワン師は、ラサのドラプチ刑務所で3年の刑に服した。

ガワン・ギャルツェン師は、チベットの首都・ラサのトゥールン・デチェン区(中国名: 堆龙德庆区)出身で、1984年にデプン僧院の僧侶になった。

――国連、EU、および人権デスク、チベット擁護セクション、中央チベット政権情報・国際関係省(DIIR)による報告


(翻訳:麻雪)